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インクルーシブデザインで衣服の悩みを解決!~『コオフク塾 in シブヤ』アダストリア×ココカラ×渋谷区で開催 ~

当社は、9月17日(日)、30日(土)、10月21日(土)の3日間、任意団体「こころもからだ着やすい服(以下、ココカラ)」の企画する参加型ワークショップ『コオフク塾 in シブヤ』に、渋谷区福祉部障害者福祉課と共に参加しました。

『コオフク塾』は、服の作り手、一般消費者、障がいと生きる人など多様な人々が集まり、障がいをもつ方々が抱えるおしゃれの悩みを理解し、服をリデザインして成果発表を行うプログラムです。今回は、『コオフク塾 in シブヤ』と題して、渋谷区にゆかりのある5名の障がいをもつ方々にお集まりいただき、その方々を中心に4~5名のチームに分かれてワークショップを行いました。
当社は渋谷区に本部を構えるファッション企業として、本企画の趣旨に賛同し、グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームの衣料品の提供を行ったほか、ワークショップにデザイナーやディレクターが参加し、障がいをもつ方々のお悩みを伺いながら、当社ブランドの洋服をそれぞれの方にとって心地よく着られるものにリデザインするアイデアを提案していきました。

■ワークショップの進め方

まず、障がいをもつ方々が服を着る時にどのような悩みをお持ちなのか、チーム内で共有しました。今回の参加者は5名とも車いすユーザーで、車いすに乗りながらの動作に不便さを感じることや、着脱のしにくさなどが意見として多くあがりました。

<コオフク塾 in シブヤに参加いただいた車いすユーザーが抱える衣服の悩み>
・車いすに乗った状態だと、丈が長くなるなど服のデザインがきれいに見えない。
・座ったまま着替えるので、伸縮性がないと、スムーズに着脱がしづらい。
・座った状態が続くことや、荷物を取る時などの前かがみの動作で腰回りが見えてしまう。

■リデザインのポイント
・トップス
袖にボリュームのある白のフェザーニットは、「車いすを漕ぐ時に袖の長さや汚れが気になってしまってしまい着づらい」という意見が挙がったため、袖の少し上の部分にゴムを入れて長さ調節をしやすくしました。ただゴムを入れるだけではなく、上からレースをあしらい、デザイン性を高めています。

・パンツ
「車いすに乗っている間は体を安定させるためのベルトを付けなければならないため、おしゃれな洋服を着ても、おしゃれに見えなくなってしまう」という意見をもとに、ガウチョパンツと同じ生地で車いすのベルトカバーをつくりました。こうすることで、ベルトもコーディネートの一部となり洋服の雰囲気を崩しません。

■参加者の感想
●大久保 晶代さん(株式会社アダストリア グローバルワーク営業部 ディレクター)
知人に子ども用入院着を制作している方がおり、車いすユーザーに向けたリメイクに興味があったため参加しました。障がい者用や介護用の洋服は、まず機能性が重視され、デザインは二の次になっていることや、病院着はあるけれど、お出かけ用は選択肢が少ない、という話を聞いたことがあります。プログラムに参加してみて、デザインやコーディネートを好きに選び、それを着やすくそれぞれ作り変えるという方法があることを初めて知りました。障がいの有無に関わらず“着る人自身が自分の好きな洋服を選び、自分を表現する”というファッションの楽しみやワクワクを、誰でも実感できるようになったら素敵だなと思います。今後、こういった取組みを広げるお手伝いが私たちにできれば良いなと思いました。

●西村 佳子さま(任意団体こころもからだも着やすい服 プリンシパル)
「車椅子でもおしゃれがしたい」をきっかけにプロジェクトをスタートし、昨年、障がいと⽣きる⼈が、本当に⾐⽣活に困っているのか?アンケートを⾏った際、「好きなブランドやデザインの服が着られない」が上位でした。そこで、私は、衣服を通して、障がいについて「知る」機会をつくりたい、と思い『コオフク塾 in シブヤ』を企画しました。
ご参加くださったアダストリアの皆さんは、コーディネートに⼀切妥協せず、ワークショップを⾏う会議室とご⾃⾝のデスクを何度も⾏き来してくださり、私だけでなく、参加者の皆さんからも感動の声をいただきました。既製服のリデザインのクオリティも⾮常に⾼く、⾞いすユーザーでなくとも、着⽤したいと思える「コオフク(考服・CO服・幸福)」が仕上がったと思います。アダストリアの皆さんの仕事に対する真摯な姿勢も「知る」機会が実現できたと⾃負しております。

●青木 晃子さま、田才 あゆみさま(渋谷区福祉部障害者福祉課)
この取り組みは、単純に既製服をリメイクすることではなく、服飾関係者や様々な立場の人がグループごとに車いすユーザーの洋服の悩みを共有し、新たな気づきと解決のためのアイデアを話し合うことから始めました。参加して強く感じたことは、課題解決のプロセスを共有することの重要性でした。車いすユーザーの参加者も性別、年齢とバラエティに富み、それぞれ衣服の悩みがあり、普段の仕事からは気づくことができない貴重な体験となりました。その課題をプロの服飾関係者が見事な技術で解決し、その過程を確認しあうことで、“オシャレを楽しむ”喜びを参加者同士で分かち合い、相互理解を深めることができた楽しいワークショップだと思いました。


当社は、ファッションがもたらす歓びを世界中の人たちへ届けることをミッションとして掲げています。今後も、事業を通じて取り組める社会貢献活動を継続して行ってまいります。