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アダストリア×ジョンソン・エンド・ジョンソングループの共同セミナーレポート ~「医療×衣料 多様性をまとう」 課題解決のためのファッションのあり方とは?~

「Play fashion!  for All(プレイファッションフォーオール)」は、「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」をコンセプトに、プロジェクトリーダーの坂野 世里奈が立ち上げたインクルーシブファッションプロジェクトです。
昨年、持病や障がいを持つ社内メンバーがプロジェクトに参画し、「一人ひとりの視点」を大切にしながら、それぞれのニーズを叶えた服を制作し、販売しました。このたび、医療の課題をファッションで解決したいという想いで、「FACT FASHION」プロジェクトを立ち上げたジョンソン・エンド・ジョンソングループと連携し、「医療×衣料 課題解決のためのファッション」をテーマに、社内向け共同セミナーをZOOM配信で実施しましたので、その様子をレポートします。




それぞれのプロジェクトが、どのような経緯でスタートしたのか、
当事者である坂野さんと土屋さんがその想いを語ります。


「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」をコンセプトとして掲げている「Play fashion! for ALL」について

坂野:「 実は私の父の介護体験がきっかけになっています。当時を振り返ってみると、私にはもっとあの時できることがあったのでは?また、アダストリアがミッションとして掲げる『Play fashion!』を、どんな時でも、病気や介護になった時でも考えられる社会になるべきだと思うようになりました。 誰もが、『着てみたい!』と思える服を本当の意味で一人ひとりの毎日に、ご提供できることができたらという思いがあり『すべての人がファッションを楽しめる社会』をアダストリアが率先して築いていくべきだと考え、プロジェクトを提案しました。」


慢性の皮膚疾患である乾癬の理解と認知向上を目指す衣服ブランド「FACT FASHION」について

土屋:「慢性の皮膚疾患である 『乾癬(かんせん)』の疾患認知向上と患者さんの精神的負担の軽減を目指し、『FACT FASHION』をスタートさせました。乾癬患者様の衣食住の悩みをリサーチすると、衣料に関するストレスが約7割ともっとも高かったんです。お薬以外の方法で、患者様の課題解決を考えた結果ファッションに行き着きました。そこで、アパレル企業の中でも社会課題解決に積極的であった株式会社MASION SPECIALさんと組ませていただくことにしました。」


「Play fashion! for ALL」の具体的な取り組み



坂野:「アダストリア・ゼネラルサポートより、当事者として持病や障がいを持つ3人のメンバーがプロジェクトに参画し、それぞれのニーズを叶える洋服を制作しました。入院中の悩みをとことん解消した機能付きパジャマや、車いすのタイヤに袖がこすれても汚れが目立たない明るい洋服、低身長でも自分にピッタリサイズのカジュアルスーツなど、当事者ならではの視点やニーズを取り入れました。当事者との企画会議はすべてリモートで行い、どんなところに課題があって、何に困っているか、とことん話し合いました。続けるうちに、それぞれの課題が解決する、そして何よりも、着てみたくなるおしゃれな服が完成しました。」



「Fact fashion」の具体的な取り組み




土屋:「2019年にプロジェクトをスタートしました。患者会さんからたくさんの衣服に対する課題をヒアリングした結果、乾癬疾患は目に見えて分かる症状のため、身体的負担だけでなく、精神的負担が多いことがわかりました。例えば、”好発部位である肘は、掻いて血が滲んでしまうため白は着られない”、”ふけのように皮膚片が落ちてくるため黒い服は着られない”などの悩みを抱えています。ただ、わたしたちは衣服を作る会社でないためヤンセンが企画提案を行い、患者さんの声をヒアリングさせて頂きながら、それを反映した衣服のデザインや販売をメゾンスペシャルさんが形にしてくれました。」



両プロジェクトとも、進行していく中で見えた課題があったかと思います。
今後どのように取り組んでいかれますか。


「Play fashion!  for All」について

坂野:「ようやく一歩が踏み始めたところで、課題はまだまだたくさんあります。分かったことは、機能とファッションが両立するデザインだったり、一般的なファッションとしてのバリエーションが求められているように感じています。そしてなにより当事者自身が、着たい、好きな洋服を自由に選びたいという想いが強いんです。そこで、公式WEBサイト内では、既存アイテムから、障がいを抱える人や介護に携わる方たちにとっても機能性があるアイテムをおすすめするページをつくりました。今後は、機能性のある素材開発も自社で行っているので、それを使ったオリジナルの商品づくりにも取り組んでいきたいと思っています。」




「Fact fashion」について

土屋:「ファクトファッションは、お洋服を作るプロジェクトと思われがちですが、乾癬という疾患を知ってもらい、患者さんの精神的負担を少しでも軽減したいということが目的です。広く多くの方に知ってもらう仕組みを作ることが常に課題となっています。プロジェクトを進める上で、1つめはメゾンスペシャルのデザイン性を活かしたお洋服を制作しました。2つめは、疾患を分かりやすくイラスト化しタグに記載することで、乾癬疾患やファクトファッションを知るきっかけになるようにしました。このタグは、どのブランドにも使用いただけるものなので広まっていってほしいと考えています。」



テーマである「医療×衣料 多様性をまとう」を踏まえ、お二人のプロジェクトを通じて感じた「Play fashion!」、ファッションを楽しむことについてどう思いますか?

坂野:「アパレル=夢を与え、それを実現させる産業だと思っています。服を通じて、ワクワクを感じ自己実現を手助けしてできるものであると考えています。今後はプロジェクトを通して店側が提案するだけでなく、お客さまの声をもっと聞く仕組みや取り組みができるといい。様々な理由でファッションを楽しめなかった人も、今回の取り組みや気付きを通してワクワクができるものが広がっていってほしいです。」

土屋:「様々な患者さんとかかわる中で、play fashion!という“楽しむ”ことにまだたどり着けない方もたくさんいる事に気付いたので、それを忘れないでいたいと思いました。ヘルスケアの医療とファッションの衣料のコラボで素敵な会ができました。異業種のコラボレーションで出会った方と、そこで生まれた熱い共通の想いを大切に、これからもさまざまなことに一緒にチャレンジしていきたいです。」


■Play fashion! for ALL について
 「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」をコンセプトに、社内事業提案プロジェクトから発足した、アダストリア発のインクルーシブファッションサービス。社内の持病や障がいを持つメンバーがプロジェクトに参画し、「一人ひとりの視点」を大切にしながら、それぞれのニーズを叶えた服を制作し、販売をしています。
特設サイト:https://playfashion-forall.jp/
Instagram:@playfashionforall

■Fact fashion について
 2019年からスタートした慢性の皮膚疾患である「乾癬(かんせん)」の疾患認知向上と患者さんの精神的負担の軽減を目指し、ファクトファッションというプロジェクトを始動。服を通じてより多くの方に乾癬を知って頂くため、MAISON SPECIALとコラボをし、医療用医薬品を扱う製薬会社として日本で初めて、ファクトファッションというアパレルブランドを2020年に立ち上げました。
特設サイト:https://factfashion.jp/