私たちにとって「ファッションをもっと楽しむ」とは

Players File

直感が、アートになる。

「Players File」は、さまざまな方法で「Play fashion!」を体現するアーティストをご紹介するコーナーです。今回は、HAREとのコラボ企画「トーキョーナンセンス」でもお馴染みの現代美術家 加賀美健さんが登場!「新元号」をテーマにしたシリーズ第四弾の発売に合わせて、加賀美さんがオーナー兼バイヤーを務める「STRANGE STORE(ストレンジ ストア)」にお邪魔して話を聞いてきました。

自分と他人の感覚のズレを、
楽しんでいます。

「トーキョーナンセンス」第四弾のテーマは「新元号」。商品では、ぬいぐるみの一部に僕の言葉がレイアウトされていますが、これがまたいい感じなんですよ。組み合わせ方やデザインの仕方が絶妙で、今回ゲストに招いた長谷川有里さんと僕の作品が、ちゃんとHAREっぽく仕上がっているんです。
毎回、テーマに合わせて何パターンもの言葉を描いて、それをHAREのみんなに選んでレイアウトしてもらうんですが、完成品を見るたびに「そうきたか!」って驚かされますね。描いたときはイマイチだと思っていたものがピッタリハマってたり、自分が気に入っていたものが採用されなかったり。自分の感覚と他人の感覚のズレが発見できておもしろいんです。もし、自分が気に入ったものを他人も同じように気に入っていたら、それはそれで嬉しいんですけど、少し残念に感じるかもしれませんね。僕はとてもあまのじゃくなので。

トーキョーナンセンス
http://www.dot-st.com/cp/hare/tn4

HARE
http://www.dot-st.com/cp/hare/hare-jp



「服」は、着なきゃ
ファッションじゃないのかな?

「Play fashion!」を語る……?うーん……何だろう?「Play」って遊びですよね?僕、服はほんとシンプルなんですよ。色は黒や白、紺が多いし、無地ばっかりだし、値段も手頃だし……ぶっちゃけ「着る服」に関しては何でもいいって思っているタイプ。
あ、でも「着ない服」にはめちゃくちゃこだわっていますね。90年代のシンプソンズの古着、サンフランシスコ49ersの古着、アメリカの郵便局の制服、サンフランシスコのMuni Busの運転手の制服……そういうのを集めて飾るのが好きなんですが、全然市場に出回らなくて。だから、古着サイトとかたくさん調べて、見つけたら即買いするんですよ。自分で着るつもりないし、そもそもサイズも全然違うんですけど、ただ、持っていたいというか。コレクションに近い感覚ですね。服は、「着ること」よりも「見ること」や「集めること」で楽しむもの。それが僕の「Play fashion!」です。



本を読め?映画を観ろ?
美術館に行け?
言われてやるものではない気がします。

僕の作品はほとんどがインスピレーション。日常で見つけた「おもしろいもの」がきっかけになることが多いですね。朝見たニュース、娘を学校へ送ったときに見つけた変なもの、小さい子がつくった工作、イベントで声をかけた気になる人、SNSで偶然見つけた情報……何気ない発見がアートにつながっていく感じ。
たまに、感性を磨くために「本を読め」とか「映画を観ろ」とか「美術館に行け」って言う人いますよね。おもしろいものの見つけ方は人それぞれだと思うけど、僕はあんまりやらないんです。自分がすごくおもしろいと思えば、それが例え社会で評価されていなくても全然気にしない。むしろ、「ここにいいものが集まっています」「これが社会で評価されているものです」って誰かに用意されたものからおもしろいものを見つけても、あまり意味がないと思ってしまうタイプなんです。



「この店、買えますか?」
はい、買えます。

「STRANGE STORE」のディスプレイは、大半がリサイクルショップやネットで見つけたもの。好きなキャラクターや芸能人の雑貨とか、イベントでつくった作品とか、誰が描いたかもわかんない絵画やサインとか、直感で「いいじゃん」と思ったものを置いています。最初の頃はもっとシンプルな空間だったんですが、どんどんものが増えてきちゃって。友達にも「情報量が多すぎて肝心の商品に目がいかない!!!」って言われましたしね(笑)。
この空間は、「僕の頭の中の一部を表現したもの」なんです。僕のお店であると同時に僕の作品でもある。だからもしこの店を「買いたい」っていう人がいたら、普通に買えますよ。ここがなくなったら、多分また別の場所でお店をはじめて、それが新しい作品になっていくんだと思います。


加賀美 健
(かがみ けん)

1974年生まれ。東京都出身の現代美術家。
専門学校卒業後、スタイリストアシスタントを経て現代美術家へ。ドローイングや彫刻などを使った作品を制作しながら、代官山にあるショップ「STRANGE STORE」のオーナー兼バイヤーも務める。ショップでは古着、雑貨や古本、自身のオリジナルアイテムなどを販売。

Instagram:@kenkagami
HP:http://kenkagamiart.blogspot.com/

撮影場所:STRANGE STORE(ストレンジ ストア)
住所:東京都渋谷区鶯谷町12-3-301
営業時間:不定休
アクセス:「渋谷」駅 徒歩11分/東急東横線「代官山」駅 徒歩7分


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